「コンプライアンスと法令遵守」を読んで
「コンプライアンスと法令遵守」に、私が以前から違和感を感じていたことが書かれていた。『思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本』が参考文献としてリンクされているが、これの「商品の説明」にも思わず頷いてしまう思いだった。上記『思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本』の商品の説明から引用する。なお、箇条書き番号は、見易さのために私が付けた。
- 消費期限切れ原料使用を作為的に隠蔽しようとしたわけでもないのに、「隠蔽」と決めつけられ、存亡の危機に立たされた不二家
- 健康被害とはまったく無関係なレベルのシアン化合物の食品製造用水への混入を公表させられ、大量の商品の自主回収に追い込まれた伊藤ハム
- 「耐震偽装」を叩くことに関心が集中、偽装の再発防止のための建築基準法改正で住宅着工がストップ、深刻な不況に見舞われた建築業界
- 刑事司法を崩壊させかねない大問題を抱えているのに、誰も止められない裁判員制度
- 経済司法の貧困により、秩序の悪化に歯止めのかからない市場経済
- 何を意味するのか不明確なまま「年金記録の改ざん」バッシングがエスカレート、厚労大臣にまで「組織ぐるみで改ざん」と決めつけられた社会保険庁
私が以前から違和感を感じていたのは、法令違反を犯した企業に対し、法令遵守の名の下に、TVなどによる無条件のバッシングが行われる姿だ。そのバッシングでは、法令違反が実質的に安全性に影響があるレベルかどうかを検証しようともしない。
組織的な隠蔽があったのであれば、それは問題でありバッシングされるべきことだと思う。しかし、上記「コンプライアンスと法令遵守」にもあるが、実質的な安全性には問題ないというのに、その安全性の検証をしないままバッシングが行われているのを見ると、私はバッシングしている側に対して不快感を覚える。