書評『Patterns of Enterprise Application Architecture』
Patterns of Enterprise Application Architecture (Addison-Wesley Signature Series (Fowler))
- 作者: Martin Fowler
- 出版社/メーカー: Addison-Wesley Professional
- 発売日: 2002/11/05
- メディア: ハードカバー
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ITアーキテクトのバイブルと言われるだけあって、素晴らしい。私にとってもバイブルとなった。
私にとって
特に素晴らしかったのは、次の変化が起こったことだ。
読む前 | 読んだ後 |
実戦経験で得た設計ノウハウ | はっきりと認識できるパターン |
さらに、本書を読むまでは全く思いついていなかったパターンもあった。
世の中のフレームワークとの関係
世の中のエンタープライズアプリケーション用フレームワークの多くは、少なからず本書を参考にしているのではないか。例えばHibernateは、本書のO/Rマッピング関係のパターンを、数多く実装しているようだ*1。ADO.NETの非接続型データアクセス*2は、「Table Module」や「Table Data Gateway」そのものだし、Visual Studioのデータセットデザイナー*3は、「Optimistic Offline Lock」を自動的に実装する機能を持っている。
日本語で得られる情報
日本語で情報を得るには、『PofEAA's Wiki』が良いと思う。ただ、リンク先はあくまで「パターンの簡単なサマリ」なので、本書を読んでいないと本質の理解は難しいだろう。
私は翻訳書『エンタープライズ アプリケーションアーキテクチャパターン』も購入したが、後悔している。翻訳がひど過ぎるのだ。Amazonのカスタマーレビューで散々な言われようだったので、覚悟はしていた。だが、いくらなんでも日本人なのだから、英語より日本語の方が効率良く読めるはずだと思っていた…が、見事に裏切られた。悪い翻訳と言われるものに、直訳すぎるというのがよくあるが、それどころではない。原書とは全く意味が違ってしまっている箇所が、散見される。ただ、これだけ問題だらけでも、日本語は日本語である。日本語メインで読んで、意味が分からない箇所は原書を参照する、という読み方はできる。どちらか1冊だけを購入するというのなら断然原書だが、私のように両方購入する方が、より良いと思う。